
北海道の農業の在り方を探求する佐々木研究員にインタビューしました
環境材料やリサイクル技術に関心を持たれたきっかけ
パンダ回収隊長
地球の物質循環は、大まかに考えると地球の中で完結します。
私たちがこれからもこの星で生き抜いていくためには、環境材料やリサイクル技術は不可欠と子供のころから感じていました。
農・林・水産と炭鉱のある地域で育った原体験が、今の研究の原動力になっています。
農業高校教員となり「地域生活からはじまり、学生と共に学究を通して、地域へ返す」プロジェクト研究を続けていることは、地域課題を発見し、課題解決の方向性を見出していく研究の基本哲学になっています。
佐々木章晴研究員
低投入持続型草地管理技術について
パンダ回収隊長
一般に田畑や草地などの農耕地に、肥料をたくさん与えると収穫物はたくさんできます。
その一方で、収穫物の割に肥料がたくさん必要なため農家さんの手取りは減ります。
また、肥料をたくさんやりすぎると河川や地下水、大気中に無視できない量の窒素成分が逃げていきます。
そこで、肥料のいい塩梅はどれぐらいか?ということを、収穫物の量だけではなく、河川の水質を観測しながら見つけ出していこうとしています。
現在、肥料価格は高騰していますので、いろいろな農業形態の地域への応用が求められているところです。
佐々木章晴研究員
リサイクル技術を農業分野に応用する際の方法や課題
パンダ回収隊長
大きく2つあると思います。家畜糞尿やワラなどの農業副産物、都市でしたら、食品が人間の体内を通って発生した下水汚泥という、肥料成分がたくさん入ったものを農耕地に戻していく技術や仕組み作り。
これらは経営的に成立する肥料化や堆肥化、流通システムの構築を目指しています。
また、農業ではビニールなどのプラスチック製品が多く使われますので、回収された廃プラスチックの利用も課題です。
再資材化は難しいかもしれませんが、熱源としての利用に向けた炉の開発が有力な候補になると考えています。
佐々木章晴研究員
佐々木研究員が地域と連携して実施したプロジェクト
パンダ回収隊長
学生たちと地域課題発見・解決型の研究を進めていく中で、だんだんと研究していくちょうどよいフィールド・範囲を見出していきました。
それが、河川流域から沿岸域までをひと固まりとして考えていくことです。
日本では、1つの河川は分水嶺から海までの広大な土地をカバーして、そこに様々な地域の方々が産業を営み生活をして、野生生物が生息しています。
これまでの研究成果を生かして、河畔林の再生や保全管理、農耕地における土壌管理の改良を、西別川、標津川、石狩川などで行っています。
佐々木章晴研究員
今後、環境材料やリサイクル技術の分野で取り組みたいテーマ
パンダ回収隊長
多くの物質が、河川流域の地下水も含めた水の流れによって移動していきます。
使用を終えた素材が放置されると、含まれる物質がやがて水に溶けだし、土壌水から地下水、河川水、海水へと拡散していきます。
なるべく影響が少ない素材原料やそれを活用した工業製品の開発の促進のために、様々な物質の水の流れに沿った動きを解き明かしていきたいと考えています。
佐々木章晴研究員